私は貝になりたい -YNコンディショニング10月号「マインドフルネス」-

YNコンディショニングとは、横浜西口(YN)治療院内で刊行しているコンディショニング啓蒙資料です。お客さまへの情報提供ツールとして、他スタッフも活用できるようにしています。

今回はマインドフルネスについて書きました。

YNコンディショニング
No.11「マインドフルネス」

私は貝になりたい

なぜ、今さらマインドフルネスなのか。
まずは前置きとしてネガティブな話をせざるを得ません。

2020年4月7日の緊急事態宣言を皮切りに、新型コロナウイルス感染症対策による外出自粛やリモートワークが続き、少しずつ緩和されてきたものの今でも油断を許さない状況です。
この危機を乗り越えようと様々な新しい取り組みに目を奪われる傍らで、短期間において悲しいニュースをいくつも見ました。

感染経路の中心は、ウイルスが付着した手で鼻や目や口を触ることによる接触感染と、咳やくしゃみによる飛沫感染です。
対策としては「3密の回避」「手指や身の回りの消毒」「マスクの着用」などが挙げられます。

最初は「気を付けましょう」で済んだ話も、半年以上もこの状態が続くとその意識は習慣として定着し、感染することへの恐怖、対人や外出への不安は増していき、世間でいう「コロナ鬱」の状態に陥っている方も少なくないようです。

幸福や楽しみは人それぞれ求める形は違いますが、その一つに人との関わりにおける信頼や絆というものがあると私は考えています。

感染症対策では、その点「人との関わり」をまず控える必要があり、さらには外出自粛やレジャーの制限により、どうしてもストレスを発散する機会が減ってきています。
人と触れ合うことで得られる安心感や一体感を代替出来るものはありません。

さらには運動不足、職場や家庭環境の変化により、イライラが溜まったり、徐々にストレスを受容しやすい体質へと変化している、ということもあるかもしれません。
でもどうしたら良いか分からない、分からないから不安ということもあるでしょう。

心身ともにコンディショニングが難しい今だからこそ、ひと息ついて、自分自身の内側に目を向けて、ストレスの居所や今後についてじっくり考えたいものです。

私は貝になりたい。

というところで、マインドフルネスの出番がやってきます。

マインドフルネスとは

3年前に前職場のブログにも書きましたが、簡単に復習していきたいと思います。

マインドフルネスとは、呼吸法や瞑想などを通じた脳の休息法の総称です。
日本マインドフルネス学会では『“今”この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること』と定義されています。

脳は体重の2%ほどの大きさにもかかわらず、身体が消費する全エネルギーの20%を消費するそうです。さらに、このエネルギーの大半(60~80%)は「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という脳回路によって消費されます。

DMNとは、内側前頭前野、後帯状皮質、前部、下頭頂小葉などから構成される「脳内ネットワーク」のことです。脳が意識的な活動をしていないときに働くので、自動車のアイドリングに例えることができます。ぼーっと休んでいるつもりでも、DMNが過剰に働き続ける限り、脳は勝手に疲れてしまうそうです。

つまり、意識的に“今ここ”と対峙することでこのDMNを抑制し、その行いを習慣化することで、疲労しにくい脳構造を作っていく。その行いがマインドフルネスです。

YN誌では、以下2つの方法を取り上げました。

呼吸法
① 目を閉じて、基本姿勢をとる。
② 身体の感覚に意識を向ける。
③ 呼吸に意識を向ける。

RAIN
Recognize:認識する「あ、怒っているな」
Accept:受け入れる「仕方ない、人間だもの」
Investigate:検証する「なぜ怒っているのかな」
Non-Identification:距離をとる「怒りが収まるといいね」

他にも色々な方法があるそうですが、基本は“今ここ”に意識をおいて、呼吸や動作において自分を客観的に見守ること。悩みや負の感情に振り回されないように、前向きな感情を育てていきます。

荒波を超えて

私はこの期間で大切なことをいくつも学びました。それは決して悪いことばかりではなく、人と人が助け合う姿、様々な素晴らしい取り組みには心を奪われてしまいます。

しかしながら、人と触れ合うことで得られる幸福感に代わるものはありません。
自分にとって“かけがえのないもの”があるように、仕事においても、ひとりの人間としても、そんな存在になれるよう自分に諭していきたいと思います。

私は貝になりたい。
でもやっぱり、この荒波を超えて泳いでいきたい。

参考図書
「世界のエリートがやっている 最高の休息法」久賀谷 亮, ダイヤモンド社

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