第8回「元トレ@オンライン」傷害が発生した際の医療機関の受診の必要性

2020年10月25日()21:00~
第8回元トレ@オンラインを開催しました。

今回は「傷害が発生した際の医療機関の受診の必要性」について、整形外科に勤める佐々木翔平トレーナーをお招きして、ディスカッション形式で開催しました。

佐々木 翔平
アスレティックトレーナー
ストレングスコーチ
柔道整復師
現役メンズフィジーカー
大学院卒(スポーツ健康科学修士)

神戸在住、関西を拠点としてスポーツ現場でのトレーニング指導やメディカルサポート、パーソナルトレーニングに従事。論理的かつ高い切れ味を放つ解説には説得力がある反面、物腰の柔らかさに私は圧倒されるばかりである。

佐々木さんのノートはこちら
https://note.com/sasaki1500

とりあえず病院に行こうか

「理論や根拠のない言葉で人を動かすべきではない」と言う佐々木氏

その一つとして、この「とりあえず病院に行こうか」という言葉が嫌いだという。
なかなか馴染みのある言葉のように聞こえるが、スポーツ現場で怪我の対応をするアスレティックトレーナー(AT)という立場として捉えると、私も同感である。

診断をするのは医師であり、私たちトレーナーは評価による見立ては出来ても、診断を下すことは出来ない。しかし、すべての症例を医師に診てもらうべきか、というと、そうではない。

実際に「診察を受けたけど、待ち時間が長く、診察はあっという間で、あまり意義を感じなかった」という経験がある人は少なくないだろう。むやみに診察を受けることにはデメリットが存在し、選手・医療機関(医師)それぞれへの時間や金銭的な負担、日本の医療費への負担がかかる。

人それぞれにそのハードルがあり、受診すべきかの判断を求められるトレーナーが果たす責任は大きい。医療機関を受診するべき場合と、そうでない場合があり、ケースバイケースであるその判断の精度を高めることは、トレーナーや治療家、人の身体に関わる仕事に従事する者にとって大切なことだ。

医療機関での診察が必要だと判断する場合

ディスカッションの話題で出たものは主に以下6つ

・画像など精密検査による診断が必要(骨折や軟骨損傷など)
・治療方針を決めるための損傷のグレード分け
・痛みの原因が分からない
・現場レベルでの処置が出来ない
・レッドフラッグサイン
・都合上、医師による診断が必要な場合(診断書が必要など)

急性外傷で緊急性があると判断した場合、固定や免荷などの治療方針を考えた場合は直ぐに受診を促した方が良いだろう。急性腰痛や捻挫、打撲などは現場での対応で間に合う場合も多い。

もちろん様々なケースがあるので、これが全てではない。

やっぱり全て受診させることに越したことはないが、前述したデメリットも十分に吟味したい。
怪我した選手とその家族、チームとも相談が必要な場合もある。

最も気を付けなければならないのは「受診させるべきものを受診させなかった場合」である。
選手から診察を受けたい申し出がある場合には、その段取りを進める方が無難である。
言動には責任があるということを自覚し、選手の同意を得て、最善の選択をしたい。

どこで診察を受けるか

アキレス腱断裂、前十字靭帯損傷など現場での処置(固定・免荷)が出来れば緊急性はない場合が多い外傷について、その後の治療方針や手間を考えた場合に、どこの医療機関を受診するかは極めて重要な選択となる。

チームドクターがいる場合

チームドクターとの関係性にもよるが、打撲や軽度の捻挫など、すべてをチームドクターが管理している現場は少ないのではないかと思う。
私は評価の見立てやチーム状況も含めて簡潔的に報告・相談をしているが、診断はドクターに委ねるため、私見は控えた上で伝え方にも気を付けている。

直接チームドクターに診てもらう場合もあれば、相談の上、別の医療機関を選択する場合もある。
私は社会人チームに帯同しているため、現住所や職場、勤務状況なども考慮し、先に上司に相談(根回し)してもらうことも多い。

チームドクターがいない場合

医療機関によって対応は様々であり、「競技への復帰」と「日常生活への復帰」を目標とする場合ではプロトコルや優先順位が異なるため、受診を勧める場合はある程度スポーツの現場を知っているドクターがいる医療機関を受診した方が良いだろう。(※専門性の違いの話で優劣を指摘するものではありません)

また選手の中には整形外科と治療院・接骨院の区別がついていないケースもあり、選手がどこの医療機関を受診するのか、トレーナーは把握または事前に説明をしておくと親切である。

近隣の整形外科、内科、神経外科、眼科、歯科などの診療時間なども調べておき、事前にEAP(Emergency Acution Plan)として周知しておきたいところである。
「診察、検査、治療方針の決定、リハビリ」までの流れが違和感なくスムーズにいくようにするためには、事が起こる前に想定して準備をしておくことが肝要である。

今回のテーマ

こんな感じで話し出したら終わりがないテーマで、今回のように言葉にしてディスカッションを行い、自らの行動を振り返る機会は大変貴重だと感じました。今回もたくさんの方にご参加いただき感謝感激です。

医療機関の受診を巡る判断の精度を高めるためにも
「とりあえず病院に行こうか」をやめて、根拠をもって行動すること。
その結果から反省点を見出し、ベストな選択を模索していくこと。

その上で、チームドクターやかかりつけの病院と良好な関係を築き、必要な情報が得られる環境を作っていくことも私たちトレーナーがやるべき仕事ですね!

ご協賛いただいたAZ_ONE様(安澤佳樹トレーナー)、ご参加いただいた皆さま、今宵も元気いっぱいありがとうございました!

次回は 11月27日(金)21:00

次回は11月27日(金)21:00を予定しております。

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