「英論レビュー(6)」第23回元トレ@オンライン

2022年7月10日(日)21:00~
第23回元トレ@オンラインを開催しました。

「英論レビュー(6)」

通算6回目となる英論レビュー
元トレでは、根拠に基づく論理的な話を展開する技能を養うために、一次情報である論文やエビデンスに触れる機会を積極的に設けています。

今回はAcute:Chronic Workload Ratio (ACWR) 」について、運営の茂木勇人TRよりお話しいただきました。

以下リンク先から原文を読むことができます。

The training—injury prevention paradox: should athletes be training smarter and harder?

Just a moment...

トレーニングとパフォーマンスの関係

「トレーニングの負荷が高すぎると怪我をしやすく、負荷が足りなければパフォーマンスやフィットネスは向上しない。」

一見当たり前のようですが、その限りではない事例もあり、いわゆる ”根性論” が主体となる壮絶なトレーニングを経て、成功を勝ち取った選手も少なくありません。

個人的には根性論、とても好きです。
指導者の経験と選手の感覚に依存するトレーニングは極めて非科学的ではあるものの、独特の文化や美学も存在し、常識を超越したトレーニングの集大成による成功があるわけです。

度重なる検証と試行錯誤をされて培われた経験は、科学で得られる知見より何倍も確かなものかもしれません。

ただ反対に、闇雲にやるだけでは成果が得られないことも数多くあります。(むしろその方が多い)

コンディショニングには選手を取り巻く外的・内的要因があり、本来それぞれに合った方法やトレーニング負荷量があるからです。

選手・コーチ・トレーナーのそれぞれの視点から、出来るだけ怪我のリスクを減らしつつ、パフォーマンスを最大化する適切なトレーニング負荷を模索していけたら良いですよね。

Acute:Chronic Workload Ratio (ACWR)

トレーナーの視点から、疲労やオーバーユースによる障害を予防する目的として「トレーニング負荷量の調節」をいかに介入するかが今回のテーマであります。

その手法として、怪我のリスクを予期するための指標に用いられているのが「Acute:Chronic Workload Ratio (ACWR)」です。
急性負荷と慢性負荷の割合で算出して、この値が高いほど怪我をしやすいと言われています。
負荷を漸増させる指標としても活用されています。

要するに、負荷に対するキャパシティを可視化したものです。

例えば「数値が低い選手」においては、高負荷なトレーニングへの耐性が低い状態であるため、現状の耐性を大きく超えるトレーニング負荷により怪我のリスクが高まります。

試合での数値やパフォーマンスの良い選手と比較することで、どの程度のペースで負荷を漸増させていけば良いかを示す道標にもなります。

これらは今の状態に合わせた「適切なトレーニング負荷を考える指標」として活用できそうです。
ちなみにスイートスポットは0.8~1.3と言われています。

トレーニング負荷の定量化

そもそもトレーニング負荷って何でしょう。
「不適切な負荷」を改善するためには、いったい何が不適切なのかを検証したいですよね。

例えば、外的負荷(主にGPS)と内的負荷(セッションRPE)の両側面からデータ収集をするためのデバイスやソフト(アプリ)が出ています。

運動の強度 / 量 / 頻度 / 種類 など様々な変数を切り取って数値化することが可能です。(すごい時代ですね!)

ただし、実際に現場で運用するには経済的なコストや労力がかかります。
実際に選手へのフィードバックまで活用出来ているのは、大学やトップチームなどの一部ではないでしょうか。

とはいえ、今後はテクノロジーの進化に伴い、情報が集約されることで新たな見解も出てくると思います。

トレーナーとして自分がサポートしている現場に対してどういうアクションが出来るのか、その選択肢の一つとして最先端の動向に目を向けておくことは大切なことですよね。

まとめ

今回の内容について個人的な考えをまとめると

・小さなことでも日常から検証を行い、試行錯誤する
・不用意に練習の負荷を下げるべきではない
・負荷に耐えられるよう準備を徹底させる
・選手自身が状態を把握して言語化できるようコミュニケーションを図る
・もしもの場合、選手コーチとの認識を合わせておく

というところでしょうか。
抽象的ですが意識して取り組んでいます。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

次回は9月18日(日)21:00

次回は9月18日(日)21:00より「運動制御を目的としたエクササイズ」について、運営の新関駿弥TRよりお話いただいて、現場での活用を目標としてディスカッションを行います。

詳細は元トレ公式LINE、または公式Instagramをご確認ください。

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